パワーストーンに願い事を掛けてみる
女の子は総じておまじないが好きな生き物です。
私が高校生の頃一時期パワーストーンにお願いごとをするのが流行っていました。
私の学校の近くには個人でやっている雑貨屋がありそこの商品に100円のお御籤ストーンがあったのです。
中身の種類は6種類何が出るかは分かりませんが、その石を購入し、願い事を掛けてお守り袋に入れておく、すると石の神様が願いを叶えてくれるのだそうです。
もちろん只所有しているだけではだめで、満月の日に好きな人の名前を唱えて石を磨くなど、中々に今思うと狂気的な物を感じますが思春期の恋する乙女には、何とも甘酸っぱい願掛けであったのでしょう、周りでは何人かそのおまじないをしている人を見かけました。
私も何となく興味があったので一度購入してみることにしました。
何と言っても値段は100円ですし、失敗しても特に損することはありません、それなのでたまには良いかと思いきって購入することにしてみました。
私が購入したものの中身は何と水晶です。
小さいながらもキラキラしていて、何とも言えず嬉しい気分になりました。
お守り袋の代わりにお気に入りのハンカチでくるんで鞄に入れると、毎日持ち歩くことにしました。
しかし願い事と行っても別に好きな人がいるわけでもなかったので、友人ともっと仲良くなれるようにだとか、ちょっとラッキーなことが起こるようにという簡単な物にしました。
その頃はパワーストーンの効果を良く知っていたわけでは無かったので、ほんのちょっとの好奇心で願掛けをしていたのですが、友人からちょっとしたプレゼントをもらえたり、お気に入りの作家の新刊をすぐに借りることが出来たりと、何となく嬉しい日が続いていたときに、石のおまじないの続きの話を耳にしました。
なんでも恋の願いを叶えて貰ったらその石は、学校のそばを通る川にお礼を言って投げ込むのだという話です。
まさかの不法投棄ですがもともと石ですし、それもありかと納得してしまいました。
しかし私の場合は恋愛事ではありません。
日常ごとでの些細なラッキーならば構わないかと特にその時は気にせずに終わりにしました。
その後友人と川の近くを寄り道しながら歩いていると、手に何か持った子が、さよならと叫んで石を川に投げている光景に遭遇してしまいました。
私と友人は顔を見合わせて失恋かと頷きました。
願いの終わりは叶うばかりではありません、振られた後も願いを掛けた石を持つのはつらいことでしょう。
青春て何ともほろ苦いものだと思ったものです。
そのあと雑貨屋さんは無くなってしまい、今ではそのおまじないが続いているかは分かりません、けれど時折お御籤ストーンを見つけると、思春期の切なさが思い出されるのです。